- 2021.5.6衛生委員会について簡単に教えてください。
労働安全衛生法及び労働安全衛生法施行令に基づき、衛生委員会は常時使用する労働者数50人以上の全業種の事業場で設置が必要です。なお、常時使用する労働者数50人未満の事業場では設置の義務はありませんが、委員会を設けている事業場以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければなりません。
調査審議事項は以下の通りです。
1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
4. 衛生に関する規程の作成に関すること。
5. 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
6. 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
7. 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
8. 化学物質の有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
9. 作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
10. 定期健康診断等の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
11. 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
12. 長時間労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
13. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
14. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。
委員の構成については、以下の通りです。
1 総括安全衛生管理者又は当該事業場において事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者(1名)
2 衛生管理者※
3 産業医※
4 衛生に関し経験を有する労働者※
・委員については、事業者が指名することとされています。
※1以外の委員の半数については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合(過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の推薦に基づき指名しなければなりません。
・事業者は労働者のうち、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを衛生委員会の委員として指名することができます。
・議長は、1の委員が務めます。
・委員会の構成員の(総)人数については、法令上の定めはありません。事業の規模、作業の実態に即し、適宜決定して差し支えありません。
その他
1 毎月一回以上開催するようにしなければなりません。
2 開催の都度、委員会における議事の概要を労働者に周知することが必要です。
3 開催の都度、委員会の意見及び講じた措置の内容並びに委員会における議事で重要なものに係る事項を記録し、これを3年間保存しなければなりません。
- 2021.4.28衛生管理者の選任義務について、簡単に教えてください。
職場において労働者の健康障害を防止するため、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、その事業場専属の衛生管理者を選任しなければなりません。ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合で、衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、労働衛生コンサルタントのうち一人については専属でなくても差し支えありません。
選任すべき人数は事業場の労働者数に応じて決められています(※1)。また、衛生管理者に選任されるためには、業種に応じた資格(医療業においては、第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許又は医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等)が必要です。
「常時1,000人を超える労働者を使用する事業場」、または「常時500人を超える労働者を使用し、かつ法定の有害業務(坑内労働又は労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務)に常時30人以上の労働者を従事させている事業場(以下「有害業務事業場」)」では、衛生管理者のうち、少なくとも一人を専任としなければなりません。なお、法定の有害業務のうち一定の業務(坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務)を行う有害業務事業場では、衛生管理者のうち一人を衛生工学衛生管理免許所持者から選任しなければなりません。
(※1 事業場労働者数と衛生管理者の選任数)
• 50人以上~200人以下 1人以上
• 200人超~500人以下 2人以上
• 500人超~1,000人以下 3人以上
• 1,000人超~2,000人以下 4人以上
• 2,000人超~3,000人以下 5人以上
• 3,000人超 6人以上
衛生管理者は、
(1)労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
(2)労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
(3)健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること。
(4)労働災害防止の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
等のうち衛生に関する技術的事項の管理を行います。
また、衛生管理者は少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならず、事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければなりません(労働安全衛生規則第11条)。
- 2021.4.20産業医の選任義務について、簡単に教えてください。
事業者は、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、医師のうちから、専門性が確保された産業医を選任し、労働者の健康管理に当たることが義務付けられています(選任すべき数は、常時使用する労働者の数が3,000人以下の場合は1人以上、3,000人を超える場合は2人以上)。
産業医は、一定規模以下の事業場では、嘱託の者でも構いませんが、労働者1,000人以上、あるいは500人以上の有害業務を行う事業場では、専属の者でなければなりません。
なお、主な職務は、労働者の健康管理等の産業医が行うべき事項(労働安全衛生規則(以下「安衛則」)第14条第1項各号)のほか、少なくとも毎月1回(一定の場合、少なくとも2か月に1回)作業場等を巡視し、労働者の健康障害を防止するための必要な措置を講ずること(安衛則第15条)等です。
また、産業医を選任した事業者は、産業医に対し、労働者の健康管理等の産業医が行うべき事項をなし得る権限を与えなければならず(安衛則第14条の4第1項)、さらに、産業医に対し、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な一定の情報を提供しなければならない(労働安全衛生法第13条第4項、安衛則第14条の2)こと等に注意が必要です。
- 2020.10.2職員の健康管理や健康確保について、何か役立つ情報があったら教えてください。
健康管理や健康確保についての役立つ情報の一つとして、ストレスマネジメントについてご紹介いたします。米国国立職業安全保健研究所(NIOSH)の職業性ストレスモデルによれば、仕事のストレス要因(人間関係や長時間労働、役割上の葛藤など)や、仕事以外の要因(家庭の状況など)、個人的要因(年齢や性格など)によって引き起こされるストレス反応(イライラ感、だるさ、過食など)が持続することで、ストレス関連疾患が発症すると考えられています。
なお、緩衝要因(ストレス反応の発現を抑える要因)は、個人を支える社会的支援(上司・同僚・家族)が含まれ、日ごろから何でも話し合える友人や家族などとの関係を作っておけることが大切です。
上手なストレス対処法としましては、ストレスに強くなるライフスタイル(運動・スポーツ・睡眠・休養・栄養)や、リラクセーション法(漸進的筋弛緩法・呼吸法・自律訓練法・ストレッチング・ヨガ・ピラティス・つぼマッサージ・入浴・アロマテラピー・音楽など)、相談などがあります。
なお、漸進的筋弛緩法とは、全身の筋肉を弛緩する方法のひとつで、最初に軽く筋緊張をしてから弛緩する方法です。呼吸法とは、腹式呼吸や、メトロノームなどの外的道具を用いるペーシング呼吸などのことです。自律訓練法とは、過緊張した交感神経を沈静化して、逆に副交感神経の活性を高めることで自律神経系のバランスを回復させる効果のある、一種の自己催眠法のことです。
ストレスに気づくことが、まずはストレス対策の第一歩です。日ごろからリラクセーションなどを取り入れ、自分と環境との関係を見つめる機会を持つことが大切です。また、ご自分での対処が困難な場合は、事業場内外の相談窓口を利用することもご検討ください。