- 2021.10.12職員がメンタルヘルス不調で休職しています。定期的な病状報告を求めたいのですが問題ないでしょうか。
本人の状況・体調を確認することで、復職のタイミングを図る必要があることから、「休みの間も定期的な連絡を取る」ことは重要です。その際には、休職している理由を証明するために、主治医が発行した診断書を受領する必要があります。
なお、頻度としては月1回、診断書の有効期限を切らさないことが重要です
- 2021.10.5職員がメンタルヘルス不調の診断書を持ってきました。どのような対応が必要でしょうか
メンタル不調の職員を働かせると、症状が悪化し、さらに悪い事態を引き起こし、病院がその責任を負わなければならない状況が生じる可能性もあります。判断が難しい場合は、本人と面談した上で、不調の原因や事実関係等を十分聞き取り、それを基に上長や同僚の職員に仕事の状況や人的関係などについて必要な調査を踏まえた上で、「勤務を続けながら治療していくのか」もしくは「就業規則に基づく休職をさせるのか」総合的な判断をする必要があります。
- 2021.5.6衛生委員会について簡単に教えてください。
労働安全衛生法及び労働安全衛生法施行令に基づき、衛生委員会は常時使用する労働者数50人以上の全業種の事業場で設置が必要です。なお、常時使用する労働者数50人未満の事業場では設置の義務はありませんが、委員会を設けている事業場以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければなりません。
調査審議事項は以下の通りです。
1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
4. 衛生に関する規程の作成に関すること。
5. 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
6. 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
7. 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
8. 化学物質の有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
9. 作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
10. 定期健康診断等の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
11. 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
12. 長時間労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
13. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
14. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。
委員の構成については、以下の通りです。
1 総括安全衛生管理者又は当該事業場において事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者(1名)
2 衛生管理者※
3 産業医※
4 衛生に関し経験を有する労働者※
・委員については、事業者が指名することとされています。
※1以外の委員の半数については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合(過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の推薦に基づき指名しなければなりません。
・事業者は労働者のうち、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを衛生委員会の委員として指名することができます。
・議長は、1の委員が務めます。
・委員会の構成員の(総)人数については、法令上の定めはありません。事業の規模、作業の実態に即し、適宜決定して差し支えありません。
その他
1 毎月一回以上開催するようにしなければなりません。
2 開催の都度、委員会における議事の概要を労働者に周知することが必要です。
3 開催の都度、委員会の意見及び講じた措置の内容並びに委員会における議事で重要なものに係る事項を記録し、これを3年間保存しなければなりません。
- 2021.4.28衛生管理者の選任義務について、簡単に教えてください。
職場において労働者の健康障害を防止するため、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、その事業場専属の衛生管理者を選任しなければなりません。ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合で、衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、労働衛生コンサルタントのうち一人については専属でなくても差し支えありません。
選任すべき人数は事業場の労働者数に応じて決められています(※1)。また、衛生管理者に選任されるためには、業種に応じた資格(医療業においては、第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許又は医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等)が必要です。
「常時1,000人を超える労働者を使用する事業場」、または「常時500人を超える労働者を使用し、かつ法定の有害業務(坑内労働又は労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務)に常時30人以上の労働者を従事させている事業場(以下「有害業務事業場」)」では、衛生管理者のうち、少なくとも一人を専任としなければなりません。なお、法定の有害業務のうち一定の業務(坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務)を行う有害業務事業場では、衛生管理者のうち一人を衛生工学衛生管理免許所持者から選任しなければなりません。
(※1 事業場労働者数と衛生管理者の選任数)
• 50人以上~200人以下 1人以上
• 200人超~500人以下 2人以上
• 500人超~1,000人以下 3人以上
• 1,000人超~2,000人以下 4人以上
• 2,000人超~3,000人以下 5人以上
• 3,000人超 6人以上
衛生管理者は、
(1)労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
(2)労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
(3)健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること。
(4)労働災害防止の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
等のうち衛生に関する技術的事項の管理を行います。
また、衛生管理者は少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならず、事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければなりません(労働安全衛生規則第11条)。
- 2021.4.20産業医の選任義務について、簡単に教えてください。
事業者は、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、医師のうちから、専門性が確保された産業医を選任し、労働者の健康管理に当たることが義務付けられています(選任すべき数は、常時使用する労働者の数が3,000人以下の場合は1人以上、3,000人を超える場合は2人以上)。
産業医は、一定規模以下の事業場では、嘱託の者でも構いませんが、労働者1,000人以上、あるいは500人以上の有害業務を行う事業場では、専属の者でなければなりません。
なお、主な職務は、労働者の健康管理等の産業医が行うべき事項(労働安全衛生規則(以下「安衛則」)第14条第1項各号)のほか、少なくとも毎月1回(一定の場合、少なくとも2か月に1回)作業場等を巡視し、労働者の健康障害を防止するための必要な措置を講ずること(安衛則第15条)等です。
また、産業医を選任した事業者は、産業医に対し、労働者の健康管理等の産業医が行うべき事項をなし得る権限を与えなければならず(安衛則第14条の4第1項)、さらに、産業医に対し、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な一定の情報を提供しなければならない(労働安全衛生法第13条第4項、安衛則第14条の2)こと等に注意が必要です。
- 2021.2.16労働者である看護師が、入院患者の体位変換・移乗介助で腰痛を発症したと言っていますが、直接の原因なのかはっきりしません。労災補償の対象になるのでしょうか。
平成25年に厚生労働省が作成した「腰痛予防対策リーフレット」において、職場での腰痛により4日以上休業する方は年間4000人以上で、うち社会福祉施設では約1000人、 医療保健業では約350人で合わせて3割を占めている、と記載されており、医療・介護の現場において腰痛予防対策は重要な取り組みの一つです。
労災補償についてですが、厚生労働省では、労働者に発症した腰痛が業務中のものとして労災認定できるかを判断するために、「業務上腰痛の認定基準」を定めています。
その中で、労災の認定要件として、「災害性の原因による腰痛」、「災害性の原因によらない腰痛」、の2種類に区分して、それぞれ労災補償の対象と認定するための要件を定めています。
それぞれの要件の内容、詳細は「業務上腰痛の認定基準」リーフレットを参照ください(こちら)
なお、俗にいう「ぎっくり腰」は日常的な動作の中で生じるので、例え仕事中に発症したとしても労災補償の対象とは認められません(例外あり)
また個別の確認については最寄りの都道府県労働局、労働基準監督署へお問い合わせください。
厚生労働省では、「職場における腰痛予防対策指針」において、福祉・医療分野等における看護・介護作業も対象として、腰に負担の少ない介助方法などを示しています。
腰痛予防対策リーフレット「看護・介護作業による腰痛を予防しましょう(社会福祉施設、医療施設事業主向け)」はこちら
- 2021.2.4ストレスチェック制度の目的等について教えてください。
ストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたものです。
平成26年6月25日に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」において、心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)及びその結果に基づく面接指導の実施等を内容としたストレスチェック制度(労働安全衛生法第66条の10に係る事業場における一連の取組全体を指す)が新たに創設されました。
常時50人以上の労働者を使用する事業場にはストレスチェック制度の実施義務があります。この場合の「労働者」には、パートタイム労働者や派遣先の派遣労働者も含まれます。また、それ以外の事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)については、ストレスチェック制度は当分の間、努力義務とされていますが、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止のためできるだけ実施することが望ましいです。
なお、個々の労働者がストレスチェックの実施義務の対象となるか否かの判断についてですが、ストレスチェックの対象者となる「常時使用する労働者」とは、次の①、②いずれの要件をも満たす者をいいます(一般定期健康診断の対象者と同様です)。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
また、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満である労働者であっても、上記の①の要件を満たし、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しては、ストレスチェックを実施することが望まれます。
詳しくは、こちらのホームページから実施マニュアル等がダウンロードできます。
(厚生労働省 ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等)
- 2021.1.12短時間労働者(パートタイム労働者)の健康診断について教えてください。
短時間労働者(パートタイム労働者)については次の健康診断を実施しなければなりません。
① 常時使用する短時間労働者に対し、雇入れの際に行う健康診断及び1年以内ごとに1回、定期に行う健康診断
② 深夜業を含む業務等に常時従事する短時間労働者に対し、当該業務への配置替えの際に行う健康診断及び6月以内ごとに1回、定期に行う健康診断
③ 一定の有害な業務に常時従事する短時間労働者に対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後定期に行う特別の項目についての健康診断
④ その他必要な健康診断
この場合において、事業主が同法の一般健康診断を行うべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の①及び②)のいずれの要件をも満たす短時間労働者(パートタイム労働者)です。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上(労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に従事する短時間労働者にあっては6月。以下この項において同じ。)である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)
② 1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上
なお、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満である短時間労働者であっても上記の①の要件に該当し、1週間の労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施することが望ましいとされています。
- 2021.1.8「いつもと違う」部下への気づきについて教えてください。
ラインによるケアで大切なのは、管理監督者が「いつもと違う」部下に早く気付くことです。「いつもと違う」という感じをもつのは、部下がそれまでとは異なる行動をするからです。その例を以下に示しました。速やかな気付きのためには、日頃から部下に関心を持って接し、いつもの行動様式や人間関係の持ち方について知っておくことも重要です。
「いつもと違う」部下の様子
○ 遅刻、早退、欠勤が増える
○ 休みの連絡がない(無断欠勤がある)
○ 残業、休日出勤が不釣合いに増える
○ 仕事の能率が悪くなる。思考力・判断力が低下する
○ 業務の結果がなかなかでてこない
○ 報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいはその逆)
○ 表情に活気がなく、動作にも元気がない(あるいはその逆)
○ 不自然な言動が目立つ
○ ミスや事故が目立つ
○ 服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする
「いつもと違う」部下に対しては、管理監督者は職務上何らかの対応をする必要があります。管理監督者が「いつもと違う」と感じた部下の話を聴き、産業医のところへ行ってもらう、あるいは管理監督者自身が産業医のところに相談に行く仕組みを事業場の中に作っておくこと等が望まれます。
なお、話を聴く時のポイントは以下の通りで、こうした話の聴き方を、「傾聴」と言います。
1. 相手を受け止める
相手に対して関心を持ち、関心を持っていることを表情や態度で相手に伝える。
2. 相手の立場に立つ
もしも自分が相手と同じような立場に置かれていたら、相手と同じようなことを言ったり、したりするんだろうなぁと考えながら、話を聴く。
詳しくは、以下が参考になります。
e-ラーニングで学ぶ「15分でわかるラインによるケア」
(https://kokoro.mhlw.go.jp/e-learning/linecare/)
職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00002.html)
- 2021.1.4職場におけるストレス要因について簡単に教えてください。
まず、どういったときに職場のストレスが大きくなるかについて、仕事の要求度(負荷)が大きく、仕事の自由度が小さく、周囲からの支援が小さい場合に、高ストレス状態となり、職場のストレスが大きくなります。
そして、ストレス要因としての職場環境には、仕事の負荷や自由度のほかに、作業環境(温度湿度、照明、騒音など)、作業方法(作業スペースや作業姿勢、身体や感覚器官への負荷など)、人間関係、組織形態(指揮命令系統、責任や権限などの仕組み)などが含まれています。
新しい課題に挑戦し、それを乗り越えた経験等、多少のストレスは人を成長させ、職場の活性化にもつながります。しかし、仕事による過度なストレスは疲労を蓄積し、職員の健康問題を発生させるだけでなく、事故の発生や生産性の低下の要因となります。
職場環境改善の5つのステップ(①職場環境の評価②職場環境のための組織づくり③改善計画の立案④対策の実施⑤改善の効果評価)や、医療勤務環境改善マネジメントシステム等により、ストレス要因を特定し、できるものから改善していく努力を続けることが大切です。
(参考)
e-ラーニングで学ぶ「15分でわかるラインによるケア」
(https://kokoro.mhlw.go.jp/e-learning/linecare/)
医師の「働き方改革」へ向けた医療勤務環境改善マネジメントシステム導入の手引き(詳細説明版資料)
(https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/c5108423b39b60946160943e2352c620bb892d26.pdf)